2008 Fiscal Year Annual Research Report
概念情報の空間的な広がりと視覚的注意との相互作用の探究
Project/Area Number |
20700246
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
永井 淳一 University of the Sacred Heart, 文学部, 講師 (10343104)
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Keywords | 視覚的注意 / 視覚探索 / 先行提示効果 / 概念 / 日常物体 / 物体ベースの注意 |
Research Abstract |
本年度は、「先行提示探索」と「物体ベースの注意」のパラダイムを用いて、刺激の概念情報が視覚的注意に及ぼす影響を検討した。 先行提示探索とは、視覚探索課題において妨害刺激の一部を先行提示した後、標的刺激を含む残りの刺激を追加提示するというパラダイムであり、この場合、標的刺激の探索時間が先行提示された妨害刺激の影響を受けず、あたかも後続提示された刺激のみの中から探索が行われうる現象(先行提示効果)が生じる。本研究では、刺激として有意味の日常物体を使用し、先行提示刺激と後続提示刺激の概念的カテゴリの異同、および、目標刺激のカテゴリの予測可能性を操作した実験を行った。その結果、目標刺激のカテゴリが常に同じで、予測可能である場合には、カテゴリの異同の影響は認められなかったが、目標刺激のカテゴリが試行ごとに異なり、予測が不可能な場合には、カテゴリが同じである条件で先行提示効果の減少が認められた(カテゴリに基づく負の持ち越し)。これは、カテゴリ情報に基づいて負の持ち越しが生じることを示唆した最初の結果である。 一方、物体ベースの注意のパラダイムによる先行研究では、幾何学的図形が群化処理され、その範囲に促進処理が広がることが示されてきた。本研究では、有意味の日常物体を刺激として使用して実験を行い、概念的関連性をもつ物体どうしが空間内で群化され、促進処理を受けるか否かを検討した。画面上の4箇所に配置された物体の1個に先行手がかりを提示した直後に、手がかりが提示された物体から等距離の位置にある他の物体に標的の光点を提示し、単純反応時間を測定した。その結果、手がかりが提示された物体とターゲットが提示された物体との間に概念的関連性がある場合とない場合で差は認められず、概念情報の影響を確認することはできなかった。
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Research Products
(3 results)