2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700247
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
加藤 正晴 Doshisha University, 文学研究科, 准教授 (20408470)
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Keywords | 発達 / 顔認知 / 視線計測 / 時系列解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の顔認知にかかわる情報処理の時間的側面について、発達的観点から明らかにするひとである。 顔は個人の判別、表情の伝達、相手の注意など社会生活の上で必要欠くべからざる情報を伝達しており、その情報は、出生直後の乳児が顔あるいは顔様の視覚刺激を好むことからもわかるとおり、発達のごく初期の段階から抽出されている。しかし顔から個体判別や表情の認識、視線の検出といった情報収集どうやって, またどの順番で行うかという時間的側面についてはまだほとんどわかっていない。 初年度の今年は特に、0歳児を被験者として顔刺激を提示したときの視線の変遷を調べ、月齢や、注視時間との関係を調べた。 具体的には、知っている顔(親近顔)と知らない顔(新規顔)の区別を乳児はどうやって行っているかを馴化法と視線計測法をみ合わせて調べた。 その結果、顔提示の最初の5秒間程度は目付近を注視する時間が多く、その後顔のパーツを見るような視線の変遷をする傾向が示ざれた。これは視線検出が第一に行われることを示唆するものである。まだ、最初の5秒間の視線の変遷を調べると、視線の移動回数の分布については親近顔では両目間の移動に偏っているのに対し、新規顔では、目とそれ以外のパーツ間の移動頻度が上昇した。この刺激による違いは刺激提示終了直前の5秒間では観察されなかった。顔認知に重要であうと考えられる刺激示直後の時間帯で特に違いのあることから、乳児は顔の様々なパーッを見比べることで顔の弁別を行っていることが示唆される。 全体的な注視時間だけでは乳児の顔弁別メニズムを調べることは難しいが、視線の変遷を調べることによりその一端が示されだ。今後より詳細な解析と新たな刺激の組み合わせにより、顔認知に関わる情報処理の時間的側面を明らかにしていくつもりである。
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