2011 Fiscal Year Annual Research Report
古典・量子相関をもつ系での微分幾何に基づいたベイズ予測理論の研究
Project/Area Number |
20700250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 冬彦 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教 (90456161)
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Keywords | 時系列解析 / ベイズ予測 / 情報幾何 / 量子情報 / 事前分布 |
Research Abstract |
本研究では発生するデータが独立性の成り立たない統計モデルにしたがう場合について、よりよい予測分布を与える方法についてベイズ法および微分幾何学的性質に注目して取り組んでいる。本年度の具体的な研究項目は大きく以下の二つに分かれる。 1.時系列モデル 本研究の最終年度ということもあり、研究成果を論文の形にして投稿すること、それと並行して広く研究集会で発表するという目標は十分に達成できた。ARモデルの多変量版であるVARモデルについて、双対平坦の幾何学という視点から考察することで最大エントロピー法に基いた特徴づけが示された。これらはVARモデルの理論的な正当性を与える。また、より一般的な時系列モデルについて、不変な2k微分形式場の構成方法を示しコホモロジーとの関係を明らかにした。これまで統計モデルとコホモロジーとの関連は調べられておらず統計モデルの大域的な性質を測る指標となることが期待される。一番次数の低い微分形式を計算することで、α平行事前分布(ある種の一様分布)に関する情報が取り出せる。 2.量子統計モデル これまでの研究結果で波動関数の離散族に対する無情報事前分布が定義できることがわかっていた。ただし、これまでは離散有限の族に限定した証明だった。本年度の研究では、一般的なミニマックス理論を駆使して、条件を緩めた証明を与えることができた。この結果により、例えば、一般の波動関数のパラメータ族でパラメータの動く範囲がコンパクトであれば、私の提案した意味での無情報事前分布が存在することがわかる。また、ミニマックスな推定も必ず存在する。これらの問題に関連して波動関数のベイズ推定の問題を定式化し解の公式を陽に与えた。一般には測定データから最適なベイズ推定量(ベイズ波動関数)を構成するにはFredholm積分方程式を解く必要がある。そこでα予測密度作用素から解析的に求める手法を開発した。
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