Research Abstract |
今日. パターン認識や機械学習で用いられるカーネル法では, データ数×データ数のサイズのカーネルグラム行列を計算する必要があり, 数万〜数十万のオーダーのデータ数を扱う場合, Nystrom近似法などのカーネルグラム行列の近似計算は, 不可欠である. 本年度は, 数理物理的解析手法および大規模ランダム行列理論を用いて, カーネルグラム行列の近似手法の一つであるNystromの二段階近似の最適化を行うという, 本研究者により提案された手法をさらに発展させ, Sparse greedy approximationやIncomplete Cholesky decompositionなどの他のカーネルグラム行列の近似手法にも適用できることを示し, 統計関連学会連合大会において紹介した。また, PAC学習, 経験過程理論を用いた近似精度の評価も, Nystrom法の場合と同様に適用可能であり, 一致性を証明することができる. さらに, 本年度は4年計画の1年目であり, 今後の研究に必至な基礎的な理論や手法に関する知識の習得につとめた. 具体的には, 大規模ランダム行列理論の基礎となる. リー群論, 非可換代数理論, 可換代数論, 代数幾何学, 代数統計学等の数学, および大規模ランダム行列理論を用いたデータ解析に必要な統計物理学の理論的基礎付け, 平均場理論, 鞍点法, くりこみ等の具体的計算手法についてその理論的妥当性や計算有効性について, 複数の輪読, セミナー, 学会, 講義で発表, 聴講を行った. また, モデル選択と関連が深いBayes予測理論を用いて, 線形回帰分析の予測誤差を改良する研究についての論文が採録され, それに関する国際発表を二件行った.
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