2009 Fiscal Year Annual Research Report
偏りのあるサンプリング下における新しい統計的方法の開発とその医学研究への応用
Project/Area Number |
20700261
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
逸見 昌之 The Institute of Statistical Mathematics, 数理・推論研究系, 助教 (80465921)
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Keywords | 医学統計学 / 欠測データ解析 / 因果推論 / 最適化問題 / 統計数学 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、本研究が対象としている、偏りのあるテータのサンフリングが行われている様々な状況(データの欠測、因果推論における交絡など)において、データの生成(取得)過程に関してどんな仮定を置いたらよいかを検討するとともに、最悪評価によるアプローチの方法論に関する理論的な考察を進めた。メタアナリシスの公表バイアスに関する先行研究に基礎をおきながら、その方法論の拡張可能性を探るべく、本年度は主に離散データの場合を考察したが、簡単な欠測データ問題においてP-値に対するバウンドを導出し、国際会議「6^<th> International Symposium on Imprecise Probability : Theories and Applications」で発表を行った。この会議には、Manskiらのバウンドに関する研究者も何人か参加していたが、彼らとも情報交換を行い、彼らのアブローチとの相違点や問題点などについて有益な示唆を得た。また、Warwick大学のJohn Copas教授ともテイスカッションを行い、メタアナリシスの公表バイアスの問題(選択バイアスの問題)と欠測データ問題の構造上の違いから、後者の場合にはそれに合った、より目然な方法論の設定があることを確認した。このように、最悪評価によるアプローチの方法論の発展可能性の探究は徐々に進んでいるが、本研究で提案した問題は、当初の想像以上に難しい問題であることが、徐々に分かりつつある。そこで本年度は、この特定の方法だけにこだわらずに、本研究の方向性に沿う、別のアプローチによる考察も並行して行った。その1つとして、John Copas教授とともに、メタアナリシスにおいて公表バイアスの影響を受けにくい信頼区間の構成をったが、この結果は論文にまとめて、現在投稿中である。また、この結果について、国内外で2件の学会発表を行った。
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