2010 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質3次元構造データベースに対する高速かつ柔軟な検索手法とその応用
Project/Area Number |
20700264
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 哲朗 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (60396893)
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Keywords | アルゴリズム / 検索技術 / データベース / 生物情報 / タンパク質 / 3次元立体構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、タンパク質等の生体化合物の立体構造データベースから類似構造検索を行う技術とその応用技術の確立をめざしたものである。初年度は、計画通り、理論的にも実際にも極めて高速なタンパク質立体構造探索のための革新的な基礎アルゴリズムの開発に成功し、2年目には、より実用に近い応用的アルゴリズムの開発を行い、全く新しいアルゴリズム設計パラダイムSMAD(Statistical Model-based Algorithm Design)を提案し、それに基づいて超高速線形時間探索アルゴリズムの開発に成功した。その成果は計算生物学における最高峰の査読付国際会議であるRECOMB (13th Annual International Conference on Research in Computational Molecular Biology)においてBest Paper Awardに選ばれるなど国際的にも確固とした評価を受けた。本年度の研究においては、前年度までに開発したアルゴリズムの理論解析をさらに発展させ、同じSMAD技術に基づいて、線形時間よりも理論的に高速に計算が可能な、理論的にもほぼタイトな計算量を持つ超高速類似構造検索アルゴリズムの開発に成功した。これは、文字列探索においてBoyer-Mooreアルゴリズムが達成しているのとほぼ同等な平均計算量を、文字列検索よりもはるかに複雑なタンパク質立体構造検索においてもほぼ達成することに成功したものである。なお、本研究において創案されたSMADとそれにもとづくアルゴリズムの一群を開発したことに対し、渋谷は、情報技術、情報科学に関する研究について、わが国において顕著な功績のあった者を褒賞することを目的とした「第二回船井学術賞」を船井情報科学振興財団より受賞した。
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