2008 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚発生のHoxを中心とした転写調節ネットワークのシステム進化解析
Project/Area Number |
20700266
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
荻島 創一 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 助教 (40447496)
|
Keywords | システム生物 / システム進化 / 初期胚発生 / Hox / 生命情報学 |
Research Abstract |
本年度は以下のような成果を得た。初期胚発生において前後軸に沿った領域分化のマスター遺伝子であるHoxを中心とした転写調節ネットワークのシステム進化解析を行うために、バイオインフォマティクスの方法により、マウスの咽頭胚期におけるHoxの転写調節ネットワークの同定を行った。用いた方法は、公共に公開されているマウスの発生過程の遺伝子発現のデータベースから、各発生段階・各組織で発現している遺伝子を取得し、これらの遺伝子についてHox転写因子の転写上流解析、文献での共起関係の解析、転写因子結合サイトの進化的保存性の解析を行うという手法である。本年度は、まず、本同定方法の有効性を、理化学研究所の近藤隆ユニット長と共に、マウスの味蕾の発生を制御する転写調節ネットワークを同定、in vivoでの確認に成功したことで示した。この成果はPLoS Genetics誌への掲載が受理された。次に、この方法により各発生段階・各組織におけるHoxの転写調節ネットワークを同定した。同定したHoxの転写調節ネットワークについて、文献で報告されている既知の遺伝子を調べたところ、ほぼすべての既知遺伝子を確認することができた。本年度に得られた成果は発生進化の国際学会であるEuro EvoDevo Meetingでオーガナイザーから口頭発表の要請を受け、発表した。Hoxの転写調節ネットワークを同定する一方、同定したネットワークを、発生ステージに沿って階層的に3Dで可視化するためのアプリケーションとしてBioCichlidを開発し、この成果はBioinfomatics誌に掲載された。現在、他生物種においても同様に転写調節ネットワークの同定を進めている。来年度は、こうして同定されたHoxを中心とした転写調節ネットワークのシステム進化解析に取り組む予定である。
|
Research Products
(6 results)