2008 Fiscal Year Annual Research Report
溶液の物理化学に基づくタンパク質立体構造予測法の開発
Project/Area Number |
20700267
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原野 雄一 Tokyo Institute of Technology, グローバルエッジ研究院, テニュア・トラック助教 (60456259)
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Keywords | タンパク質 / 立体構造予測 / 溶液化学 / 溶媒和エントロピー |
Research Abstract |
ポストゲノム計画の中心課題は、タンパク質の立体構造と機能との相関を明らかにし、タンパク質を主役とする生命現象発現の分子機構を解明することである。研究代表者らは、タンパク質が存在する環境である水に着目することによって、タンパク質立体構造形成における主要な物理化学的因子を理論的に見出している。本研究は、その物理化学的因子に基づき、タンパク質の立体構造をそのアミノ酸の一次配列から決定する計算化学的な方法論を確立することを目的としている。 今年度は、京都大学の木下正弘教授とともに、その因子の効果が顕著になる水溶媒の高圧条件を理論上構築し、タンパク質の立体構造に与える影響を観察した。その結果、タンパク質の圧力変性のメカニズムに関して、液体論的立場から新たな知見を与えるとともに、溶媒和エントロピーがタンパク質の立体構造を決定する支配的因子であることを見いだした。詳細な結果は査読付き論文、Journal of Chemical PhysicsおよびPhysical Review Eに掲載済みである。 以上のような知見をもとに、タンパク質立体構造を予測するためのエネルギー関数の最適化を行い、現存するタンパク質の偽物構造群から天然構造を見いだすことに成功し、天然構造が与えるエネルギーの値の偏差値から判断すると、さらにエネルギー関数の精度が増したことを確認した。この関数を用い慶応大学の光武亜代理助教とともに構造サンプリングの手法を組み合わせ、新たなソフトウェアを開発した。これらの成果の詳細は生物物理学会第46回年会にて発表した。
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