2009 Fiscal Year Annual Research Report
酵母1遺伝子摂動株ライブラリによる表現型変化の網羅的解析とその予測システムの開発
Project/Area Number |
20700270
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古澤 力 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (00372631)
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Keywords | 分子育種 / 網羅的表現型解析 / 酵母 / マイクロアレイ / 相関解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1遺伝子破壊/発現増強の操作を細胞に与え、その時の表現型変化を網羅的に測定したデータに基づいて、マイクロアレイなど他の網羅的測定データによってその表現型の変化を予測するアルゴリズムを開発し、工学的な細胞育種を支援するプラットフォームを構築することである。これまでに、酵母の1遺伝子破壊株ライブラリと、1遺伝子発現増強株ライブラリを用いて、複数の環境下における遺伝子操作の増殖速度への影響を解析してきた。その結果、破壊や増強によって増殖速度を減少させる遺伝子機能カテゴリの同定に成功した。また、破壊や増強をすることによって、増殖速度を上昇させる遺伝子を同定した。加えて、マイクロアレイによって取得した遺伝子発現量データと、網羅的な遺伝子破壊/発現増強のデータの相関を解析した。結果として、発現量の絶対値が大きい遺伝子を破壊/発現増強した場合に、表現型が変化する確率が大きくなるという相関が見出された。さらに、エタノールストレス環境下での増殖に影響を与える遺伝子の発現変化の特徴を解析した。その結果、遺伝子破壊がエタノールストレス感受性を引き起こす遺伝子の特徴として、(1) エタノールストレス環境下における遺伝子発現変化との関連性は低い、(2) エタノール耐性能の異なる酵母においてエタノールストレス環境下で異なる遺伝子発現変化を示す傾向が高い、(3) ストレスを与えない環境下においてエタノール耐性酵母において遺伝子発現量が高い、ということが分かった。以上のことより、解析環境に対する耐性能のことなる菌株の遺伝子発現情報の比較は、環境下での増殖に必要な遺伝子の抽出に有用であることが明らかとなった。
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