2010 Fiscal Year Annual Research Report
システム生物学・構成的生物学に基づく弛張型発振回路の設計と構築
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20700271
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柚木 克之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (70433745)
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Keywords | システム生物学 / 合成生物学 / イメージング / 人工遺伝子回路 / 反応速度論 / 振動子 / 非線形力学系 / 分子拡散 |
Research Abstract |
平成21年度から開発を進めている蛍光タンパク質分子数推定法の汎用性を検討した。また、弛張型発振回路として機能する人工遺伝子回路の数理モデルを解析して振動条件を満たすパラメータを探索した。 蛍光タンパク質分子数推定法はプロモーターの反応速度論定数測定および数理モデル構築の根幹を成すイメージング技術である。本研究で開発した分子数推定法は画像処理に基づく手法であり、分裂前後の細胞を撮影する必要のある先行手法よりも簡便で応用範囲が広い。平成21年度から22年度にかけて大腸菌の蛍光画像を用いて手法の検証を行い、分子数既知の大腸菌細胞内タンパク質の値と本手法による推定値を比較した。結果としては、比較的妥当な分子数推定値が安定して得られた。当初はここまでの内容で特許を出願する予定であったが、知財専門家との協議の結果、適用範囲の広い特許とすることを目指し、大腸菌以外の細胞における応用可能性を検討した。 また、細胞内分子数など取得したパラメータを基に人工遺伝子回路を構成した場合、弛張型発振回路として機能するか否かを検証するため数理モデルを構築し、シミュレーションにより発振条件を検討した。人工遺伝子回路を構成する分子部品としては、任意の転写調節因子(lacI、tetR、λcIなど)とmCherryの融合タンパク質をPBADプロモーター直下に挿入した「レギュレーター・プラスミド」と、これらの転写制御因子が結合するプロモーターを持つ「ターゲット・プラスミド」を想定した。これらのDNAコンストラクトは構築を完了している。シミュレーションの結果、転写調節因子のインデューサー(IPTG、aTcなど)の濃度を変化させてDNAへの結合強度を調節することにより、これらの分子部品を組み合わせた人工遺伝子回路による発振が可能であるとの結果を得た。
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