2008 Fiscal Year Annual Research Report
動的パターンの遍歴による単細胞生物の脳機能発現メカニズム
Project/Area Number |
20700275
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 清二 Hokkaido University, 電子科学研究所, 助教 (80372259)
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Keywords | 真正粘菌 / アクトミオシン / 収縮弛緩運動 / 細胞運動 / 回転ラセン波 / 光応答 / 位相応答曲線 / 除細動 |
Research Abstract |
アクチン繊維の可視化 アクチン・ミオシンは配向性のある太い束をつくり、それらを全方位偏光顕微鏡下で複屈折繊維として観測することに成功し, 生きている状態で細胞骨格の分布パターンの変遷を追跡することができた。全長200μmの変形体は先端部一つと尻尾一つという単純な形態をとる. このような場合アクトミオシン繊維の分布は先端部で細かいメッシュワーク, 後部では進行方向に向かって垂直方向に太いバンドルを形成する. アクトミオシン繊維のバンドルは収縮弛緩運動と同期して太さが変化し, 収縮期には太く, 弛緩期には細くなる. また, 一つのバンドルに着目すると, 観察視野内でのその絶対位置はほぼ変化せず, つまり, 細胞内での相対位置が後方へ移動して行く. つまり, 変形体において外側のゲル相の原形質は外部の基質に対してほぼ固定されており, ゾル状の原形質を前方に輸送することで移動することが明らかになった. 回転ラセンの外部刺激による消滅 巨大な変形体から抽出した原形質ドロップは収縮弛緩運動の多様なパターンを示し, その中でも回転ラセン波は周期的な安定したパターンである. この回転ラセン波の外部刺激に対する応答を調べる事により, 振動場に発生した回転ラセン波およびパターン遷移の性質を明らかにした. 直径およそ1mmの円盤状の変形体は調整後およそ1, 2時間で安定な回転波を示す. 変形体のおよそ1/4の部分に円形に青色光パルスを与える. 照射領域が最大収縮期付近の時だけ振動パターンは不連続的な変化を示す. 照射領域が回転波の中心に近い場合, 回転波の消滅または移動が起こる, 一方, 照射領域が回転波の中心から離れている場合, 新たな回転波が生成する. これらの結果から, 粘菌の収縮弛緩振動は強い光刺激に対して最大収縮期付近で位相応答が遅延から先進に不連続に変化するtype0の位相応答性を示すと考えられる.
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