2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700278
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西川 淳 The Institute of Physical and Chemical Research, 生物言語研究チーム, 研究員 (20392061)
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Keywords | 同期的活動 / 時系列分節化 / 多点同時記録 / HVC / 神経回路モデル |
Research Abstract |
言語を支える重要な下位機能の一つに「音声時系列の分節化」があるが、その神経機構はほとんど明らかにされていない。本研究では、ヒトと同様に分節化された音声時系列を生成・学習することが知られているジュウシマツという小鳥を動物モデルとして用い、複数の神経細胞が同期的に活動することによって神経回路全体の状態遷移が生じ、その結果として音声時系列の分節化が実現されるという仮説の実験的検証を試みた。 今年度は、まず麻酔下のジュウシマツHVC(小鳥の時系列処理中枢の一つ)から同時に複数のニューロンを記録する方法を確立した。多数のニューロン活動を安定して記録するために、どのような記録点配置が良いか、どのような位置からどのような方向で刺入するのが良いかなどの実験条件を検討し、HVC多点同時記録を安定的に行うためのプロトコルを作成した。次に、複数の神経活動の同期性や関係性を抽出する方法として良く用いられるCross-correlation法により、HVC局所神経回路内における機能的ネットワークの抽出に成功した。現在、この機能的ネットワークが様々な時系列文脈に応じてどのように変化していくのか調べているところである。 一般に、ニューロン間の相関関係が時間的に変動する場合、従来のCross-correlation法では分節化を検出できない危険性がある。そこで、相関のあるポアソン過程からなる隠れマルコフモデルを用いて複数のニューロン間の相関ダイナミクスを抽出する手法を開発した。現在、この手法を用いて、歌系列のチャンクの切れ目と相関ダイナミクスの関係を解析しているところである。 以上の研究をさらに進めることにより、生物が長い進化を経て獲得してきた複雑な時系列生成と学習を可能にする神経機構が解明することを目指している。
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Research Products
(14 results)