2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経科学と画像工学に同時に貢献する初期視覚モデルの研究
Project/Area Number |
20700279
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 俊治 The Institute of Physical and Chemical Research, ニューロインフォマティクス技術開発チーム, 研究員 (50333844)
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Keywords | 分数階微分 / netCDF / 神経節細胞 / V1単純型細胞 / 受容野モデル / 時空間受容野 / 固視微動 |
Research Abstract |
INRIAが公開しているVirtual Retinaを基礎として、実験によって得られた実際の眼球運動や、一般的なデータフォーマットに対応できるように改良を進めた。データフォーマットは気象学や地球物理学における共通フォーマットであるnetCDFを基礎としており、研究者内外におけるデータ共有、sustainabilityの向上を図っている。また、Parvo/Magnoの各神経節細胞の時空間特性を調査し、V1単純型細胞の計算論的考察の基礎を構築した。 V1細胞の空間的受容野モデルについては新たに、分数階微分(実数階微分)ガウス関数モデルを提案した。このモデルは、生体信号処理の立場から定式化された最適化問題の解として演繹的に導出された。具体的には個々の視覚細胞が空間的に局所的な領域のみを処理する事実を踏まえ、視覚細胞にとって処理可能でありかつ画像工学的にも有益な基底関数を、スツルムリュービル問題を生じる汎関数局地化問題として定式化した。さらに得られた基底関数を用いて網膜像を表現し、基底関数が含まれている強度を計算するための受容野モデル(空間フィルタ)を導出した。導出したモデルは分数階微分ガウス関数であることが示された。 また本モデルは神経生理学的にも妥当性が高いことを示し、Gaborモデルなどの従来モデルが持つ様々な問題点を解決することもわかった。本モデルは時空間ならびに両眼性V1単純型細胞受容野モデルヘと発展させることができ、V1細胞の様々な特性を理論的に再現・解釈することが可能となった。V1単純型細胞の時空間受容野特性と固視微動特性を組み合わせることで、神経生理学的妥当性が高い超解像処理が可能になる。
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Research Products
(7 results)