2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経科学と画像工学に同時に貢献する初期視覚モデルの研究
Project/Area Number |
20700279
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
佐藤 俊治 The University of Electro-Communications, 大学院・情報システム学研究科, 准教授 (50333844)
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Keywords | V1単純型細胞 / 時空間受容野 / 両眼性細胞 / Gaussian Derivative / コントラスト / 適応的画像処理 |
Research Abstract |
画像から計算によって得られる情報は空間的情報だけではなく,両眼視による奥行情報と時間変化に関する情報がある.本年度は,両眼性細胞の新しい受容野モデルの導出と,コントラスト依存性を持つ時空間受容野の新しい計算論の導出に成功した. 両眼性細胞の受容野モデルは,分数階に拡張したGaussian Derivative関数で記述されており,神経生理学的実験結果とも整合性が高い.具体的には,左右受容野の異なる選択的空間周波数を演繹的に記述することができた.また,本モデルは画像処理的要請から自然に導出されたモデルであるため,画像処理の立場からも有効性が高い.たとえば細胞出力から逆算してより高精細な画像を復元することが可能である.導出したモデルの理論的解析によって,細胞出力は輝度分布の空間的微分値に相当することがわかった.この結果を用いると,画像復元のためには,細胞出力を係数としたエルミート多項式によって,高精細な画像が復元できることが示された. 画像は一般的に動画像であるため,時空間受容野についても考察する必要がある.しかしこれまでの研究は「空間」に重きが置かれ,「時間的受容野」に関する計算論的考察は存在しなかった.本年度は時間的受容野に関しても同様に,画像工学的要請と神経生理学的制約条件から時間的受容野モデルを演繹的に導出した.導出したモデルは,コントラスト比に対して適応的に時間的処理を行う.その結果,コントラスト比に依存して複雑に変化する実際の時間的受容野を記述するモデルを導出することができた.具体的には,神経細胞がKalman filterを内部で実行していると考え,これを実行するために必要な神経回路網を導出した.
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Research Products
(4 results)