2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700281
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 将文 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (20361074)
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Keywords | 左右非対称性 / カドヘリン / 大脳皮質 / 線条体 / 活動依存性 |
Research Abstract |
本研究では、成体脳における機能的左右性形成の分子基盤解明を目的として、20年度は、カドヘリン20遺伝子の発現様式および細胞特性の解析を中心に行った。8週齢ラットの線条体側方領域および大脳皮質体性感覚野におけるカドヘリン20遺伝子の非対称発現がいつから開始するのかを検討するため、まず、クローズドコロニーラット(SDラット)の胎児期および4週齢雄における発現様式を解析した。E12.0から生まれる直前のE20.5においては将来の線条体および大脳皮質領域での発現は認められず、4週齢では認められたことからカドヘリン20遺伝子の発現は生後に調節されていることが明らかになった。興味深いことに、8週齢ラットにおいて、カドヘリン20遺伝子が左右対称に発現する個体も存在することが明らかになった。このことから、左右非対称性発現には何らかの活動依存性が存在することが示唆された。8週齢の線条体における脳におけるカドヘリン20遺伝子の発現細胞種を同定するために、in situハイブリダイゼーション法と免疫染色法による2重染色を行った。線条体には淡蒼球または中脳黒質緻密部へ投射する2種類の投射ニューロンと少なくとも5種類の介在ニューロンが存在することが知られており、投射ニューロンのサブタイプはエンケファリン陽性、サブスタンスP陽性により区別できる。線条体側方領域のカドヘリン20陽性細胞のほとんどはエンケファリン陽性であるが、やや背側部のカドヘリン陽性細胞はエンケファリン陰性であったことから、少なくとも、カドヘリン20遺伝子は淡蒼球へ投射ニューロンには発現していることが明らかになった。以上の結果は第31回日本神経科学大会(2008年7月10日、東京)において初めて研究発表を行った。
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