2008 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ嗅覚学習系を用いた記憶形成を支える神経ネットワークの解明
Project/Area Number |
20700283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 智史 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (10463902)
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Keywords | ショウジョウバエ / 嗅覚記憶 / 条件付け自動化 / アルコールセンサー / Labview / JNK |
Research Abstract |
Labviewを用いた条件付け手順の自動化ショウジョウバエ嗅覚条件付け操作の自動化を完了した。これにより従来手作業で行われてきた嗅覚記憶研究を迅速かつ正確に進めることが可能となった。計測機器自動制御ソフトウェアLabview(National Instruments社)を用いて(1)電磁バルブの開閉制御による提示する匂い種の制御、(2)電気刺激装置のon/off制御、をコンピューターから任意のタイミングで制御する装置を開発した。装置の要点は以下。 ●Labview導入により低コストでの自動化を実現した。 ●6サンプルを同時に条件付けできる(手作業では4サンプルが限界)。 ●この装置を用いて可逆的in vivo神経機能阻害(shibire法)を遂行可能である。 ●半導体アルコールセンサーを用いることにより匂いと電気刺激の最適な提示タイミングを詳細に検討した。これにより匂いをパルス状に提示することで高い学習効果が得られることを見いだした。 嗅覚記憶の獲得・固定.読み出しを担う神経ネットワークGa14エンハンサートラップスクリーニングにより同定したキノコ体に投射する神経細胞について、前シナプスマーカーを用いることにより同定した神経細胞のキノコ体に対する入出力関係を明らかにした。またJNK(c-Jun-N-terminal Kinase)がキノコ体のα'/β'神系において強く浩性化していることを見いだした。キノコ体はα/β', α'/β', γの3種類の神経細胞に分けられるが、嗅覚記憶の獲得・固定・読み出し過程において分業を行っているという報告がある。JNK活性をα'/β'特異的に阻害したところα'/βlobe末端構造の肥大とプレシナプスタンパクの蓄積が見られた。これはJNKがα'/β'においてシナプス増強を抑制していることを示唆する。嗅覚記憶形成過程においてJNK活性を介してシナプス可塑性が制御されている可能性が考えられる。
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