2008 Fiscal Year Annual Research Report
視覚誘導性眼球運動における運動の促進と抑制のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
20700286
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 健一郎 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (20362535)
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Keywords | 注視 / 視運動性反応 / 抑制 / 運動制御 / 視覚 / 眼球運動 |
Research Abstract |
本研究では、静止注視点の存在が眼球運動発現へ及ぼす影響を詳しく調べることで、注視行動を実現する時働く脳の運動抑制機構(以下、注視システムと呼ぶ)を詳細に理解することを目的としている。ヒトを被験者とした行動実験、統計学的手法を用いた解析およびモデル構築・シミュレーション技術を利用した解析を行い、注視システムの神経機構の理解を進めていく計画である。平成20年度において、種々の眼球運動反応における注視システムの影響を調べるための実験設備の準備および所期の目的を達成するための行動実験課題を確立し、その実験課題を用いてヒト被験者の眼球運動を記録した。視運動性反応における運動抑制機構について詳細に調べる実験を実施し、視運動性反応の視覚-運度変換のゲインがヒト被験者の行動に応じて変化し、静止した視標を注視している時には非常に低くなることを明らかにした。この結果の一部は平成20年度3月の学会で発表し、また残りの一部は平成21年度7月の国際生理学会大会で発表する予定である。また、視運動性反応抑制課題遂行中のヒト被験者の眼球運動を詳細に調べ、静止注視点を固視している時の視覚-運動変換のゲインは、同時に呈示される視覚刺激の動きに依存し、同方向の場合には非常に低くなることを明らかにした。この結果の一部はExp Brain Resに投稿し既に受理されている。さらに、静止注視点の存在がサッケード運動の発現に及ぼす影響、円滑追跡眼球運動の発現に及ぼす影響、視運動性反応の発現に及ぼす影響について詳細に調べた。その結果、これらの眼球運動の発現における静止注視点の存在の影響は互いによく似ていることがわかってきており、共通の神経機構の存在を示唆する点で重要な所見と考えている。
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