2008 Fiscal Year Annual Research Report
刺激画像の艶成分を除去し物体色を抽出する視覚神経機構の解明
Project/Area Number |
20700299
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
鯉田 孝和 National Institute for Physiological Sciences, 生体情報研究系, 助教 (10455222)
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 視覚 / 色覚 / 電気生理 |
Research Abstract |
視覚像の艶(光沢)と物体色知覚について、心理物理実験、色彩計測、電気生理実験を行うことで、いくつかの興味深い発見が得られた。 光沢と物体色は分離して知覚できることを心理実験で確かめた。人工的に作成した凸凹平面画像を用いて光沢のあり・なしを変化させ、その際の物体色の色判断を測定した。色判断には影響がない、あるいはわずかに彩度が高まる傾向にあった。光沢と物体色が混ざって分離できない場合とは逆の効果であるため、光沢を除去し物体色を判断していたと言える。 同様の実験パラダイム(色判断タスク)をサルの行動実験に適用するため、サルに色判断トレーニングを行った。さらに、物体色の情報表現を担うと予想されるTE野の色領域(aITC)を同定する実験を行った。同定は神経活動の記録と電気刺激による色判断への効果を皮質上にマッピングすることで行い、一貫したaITC領域を得た。また電気刺激によって色の見えが特異的に変わる傾向が見られたため、今後は電気刺激による色の変化を重点的に調べる予定である。 また、画像処理の探索過程で興味深い錯視現象を発見した。画像にわずかな色変化(輝度が高い少数のピクセルに輝度に相関した色変化をつける)を加えることで見えの明るさ感が大きく向上する現象である。変化させる色方向は重要であり今後の詳細な測定が必要である。また画像は金属光沢のような見えであったことから、実際の金属光沢を測定し比較した。二次元(画像)色彩計、および二次元分光測定装置を用いて測定を行った結果、驚くべきことに金などの色づいた金属光沢は、大きな輝度変化にもかかわらず、色度の変化はわずかであり、明るさに相関した色の変化はほとんど見られなかった。上記の画像の色輝度の変化は、金属光沢による物理的な現象に基づいていないようである。今後の研究を通じての包括的な説明が必要であろう。
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Research Products
(7 results)