2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20700301
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山崎 匡 独立行政法人理化学研究所, 戦略ユニット, 研究員 (40392162)
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Keywords | 小脳 / 運動学習 / モデル / 記憶の固定化 / 記憶転送 / 大規模シミュレーション |
Research Abstract |
これまでに、Shutoh et al.(2006)で報告された視機性眼球運動のゲイン適応における短期と長期の運動学習の役割について、特に皮質に蓄えられた短期の運動記憶がトレーニングを繰り返すことで核へと移動し長期記憶へと変換される過程に関して、その理論を構築し計算機シミュレーションで実験との整合性を確認してきた。昨年度までに小脳はLiquid state machineと単純パーセプトロンという2つのニューラルネットワークのハイブリッドネットワークであること、核での運動学習はプルキンエ細胞の出力を教師としたパーセプトロン学習によって引き起こされること、スパイキングネットワークによるモデルの実装、核での運動学習が発散しないことの数学的解析を行ってきた。今年度はその範囲を前庭動眼反射および瞬目反射の条件付けにまで拡大し、より一般的な議論をおこなった。その結果、我々のモデルではこれらの反射課題を全て統一的に説明できることがわかり、また守備範囲を随意運動まで拡張できそうであるという感触を得た。また、全ての計算機シミュレーションが単一のパラメータ設定で行えるようにパラメータを調整し、データを全て取り直した。現在成果を論文にまとめているところで、共著者と修正を重ねているところである。来年度初頭には投稿を目指している。また、シミュレーションをやり直している際に、我々のモデルでは一度学習した運動パターンをスピードを変えて再現することができることを発見した。我々が新しい動作を覚えるとき、まずゆっくりした動作で繰り返し練習し、徐々にスピードをあげていくが、その過程を再現できるのではないかと考え、現在調査をおこなっている。
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