2009 Fiscal Year Annual Research Report
SOX2遺伝子発現を指標とした神経幹細胞の脳室帯局在維持システムの解明
Project/Area Number |
20700305
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高永 博実 The Institute of Physical and Chemical Research, 分化転換研究チーム, 研究員 (50337987)
|
Keywords | 神経幹細胞 / 細胞分化 / Sox2 / Gli2 |
Research Abstract |
転写因子Gli2は、神経幹細胞の維持に関わる重要な蛋白質であり、発達時の脳では、神経幹細胞の豊富な脳室帯に発現している。我々は、Gli2がSox2やHes1, Hes5など、神経幹細胞の機能維持に重要な因子の発現を制御すること、また、発生脳の神経上皮細胞にドミナントネガティブGli2を強制発現させた際、神経上皮細胞の配列が乱れ、遺伝子導入されていないSox2陽性細胞が神経細胞層へと移動することを見出している。これらの結果は、神経幹細胞の脳室帯局在に、Gli2活性が関わっている可能性を示している。そこで我々は、Gli2の細胞内局在や転写活性に影響を及ぼす因子の検索、またGli2結合蛋白質の検索を行うことで、神経幹細胞の脳室帯局在維持システムの解明を行うことを目的として研究を行っている。 これまでの研究により、Gli2蛋白質の特定のアミノ酸変異により、Gli2の細胞内局在や転写活性に変化が現れることが明らかになった。この領域は、神経前駆細胞の増殖・維持に関わることが報告されているある因子Aにより修飾される認識配列を持つため、Gli2は、この因子の下流で活性を制御されている可能性が高い。現在は、Gli2と因子Aとの結合、また因子AによるGli2の蛋白修飾が見られるかなどについて検討を行っている。 本研究により、Gli2の新規上流因子のみならず、神経前駆細胞の増殖・維持における因子Aの下流を明らかにすることで、神経幹細胞がどうして脳室帯に局在するか、また分化する際にはなぜ神経細胞層へと移動するのかという問題への解答の一つが得られると期待される。
|