2009 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成を調節するテレンセファリン結合分子群の網羅的解析
Project/Area Number |
20700307
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古谷 裕 The Institute of Physical and Chemical Research, シナプス分子機構研究チーム, 研究員 (80392108)
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Keywords | シナプス / ブイロボデイア / スパイン / 細胞接着分子 / テレンセファリン / プロテオミクス |
Research Abstract |
テレンセファリンは樹状突起フィロボディア形成を調節する細胞接着分子である。樹状突起フィロボディアはスパインの前駆体と考えられており、シナプス形成において重要な働きをしている。スパイン形成の分子機構はPSDフラクションの解析により解明されてきたが、フィロポディア形成の分子メカニズムはよく解っていない。テレンセファリンが細胞外マトリックスタンパク質ビトロネクチンと結合することを見出し、この結合を利用してフィロボディア形成に関わる分子を多く含む画分の精製法を開発した。この画分を樹状突起フィロポディア様画分と呼び、この画分に含まれるタンパク質を質量分析器により網羅的に解析した。その結果、フィロポディアの骨格となるアクチンに結合し重合などを制御する分子群21種類を見出し、さらに、アクチンの重合を制御しうるGTPaseとこの制御に関わる分子群23種類を同定した。また、テレンセファリンはERMタンパク質に結合することが解っており、ERMタンパク質はキナーゼによりリン酸化されて活性化し、テレンセファリンと結合すると同時にアクチンフィラメントとも結合し、フィロポディア形成を促進する。このキナーゼの候補として以前にERMタンパク質をリン酸化すると報告されているROCKIとMARKαを網羅的解析から見出した。また、ERMの活性化ばかりでなく非活性化するホスファターゼも見出しており、これらの協調的なERMのリン酸化制御により、テレンセファリンによるフィロポディア形成を制御していると示唆された。
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