2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規逆行性越シナプストレーシング法による大脳皮質―大脳基底核ループ回路の解析
Project/Area Number |
20700308
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
井上 謙一 Kyoto University, 霊長類研究所, 特定助教 (90455395)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 解部学 / バイオラクノロジー / ウィルス |
Research Abstract |
本研究は、狂犬病ウイルスを用いた逆行性越シナプストレーシング手法と、それを発展させた組み替え狂犬病ウイルスベクターによるトレーシング手法を組み合わせて、大脳皮質-大脳基底核ループの構築様式を明らかにしようとするものである。特に、これまでの研究で明らかになってきた並列ループ回路について、回路間に交わりがあるのかを検証し、あるのならばその様式を明らかにすることを目的とした。 本研究では、サルの一次運動野、運動前野、補足眼野、前頭前野背外側部・腹内側部、および高次視覚野への狂犬病ウイルス注入実験を行い、それぞれ二次性のラベルと三次性のラベルが検出できるよう生存期間を調節した。いずれのサンプルにおいても、淡蒼球内節や黒質網様部が二次でラベルされ、線条体・視床下核・淡蒼球外節が三次でラベルされる結果を得た。これらの感染細胞の分布を解析した結果、線条体および視床下核のラベル細胞の分布はおおむね皮質からの投射部位と一致し、重なりを含みつつも閉ループ回路が存在している可能性が示唆された。一方、全てのサンプルにおいて、三次性に腹側線条体にラベルが見られ、腹側線条体を含む開ループ回路が別で存在する可能性が示唆された。これらの結果の一部を論文投稿中である。 また、本研究では狂犬病ウイルスCVS株のフルゲノムおよび各構成遺伝子のクローニングを行い、ベクターとして利用できるようウイルスゲノムcDNAから感染性ウイルス粒子を得る回収系を構築した。この成果により、狂犬病ウイルスゲノムにGFPやRFP遺伝子等のマーカータンパク質を組み込んだ越シナプス的神経トレーサーベクターを作製することが出来、異なる領野に別々のベクターを注入することにより、閉ループの程度についてより直接的な検討が行えるようになった。この成果の一部を論文に報告した。
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Research Products
(14 results)