2009 Fiscal Year Annual Research Report
既存回路網への統合様式の可視化による成体新生ニューロンの海馬情報との関連性の検討
Project/Area Number |
20700311
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大川 宜昭 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (80416651)
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Keywords | ニューロン新生(神経新生) / 新生ニューロン / 海馬歯状回 / スパイン / 長期増強(LTP) / レトロウイルス / 神経科学 |
Research Abstract |
成体海馬歯状回においてニューロン新生が起きており、これら新生ニューロンが、歯状回の既存回路網へ機能的に統合されることが示されている。一方、新生ニューロンの既存回路網への統合様式が、記憶・学習等によりどのような影響を受けるのか、また、獲得情報に対し影響を与え得るかは不明である。私はレトロウイルス標識法を用いた新生ニューロンスパインの可視化と、シナプスレベルでの記憶学習のモデル現象である長期増強(LTP)誘導の両立を確立し、海馬での情報獲得と新生ニューロンのシナプス形成様式との関連を検討した。ウイルス標識法により新生ニューロンのスパイン発達を検討したところ、感染14日後(14dpi)~16dpiでスパイン形成が開始し、16~18dpiにかけて劇的にスパイン数が増加することが分かった。これを基に、スパインが未発現の12dpi、発現開始する16dpi、発達中・発達後の21dpiにそれぞれLTPを歯状回分子層中層に誘導し、28dpiでのスパイン発現様式を観察した。この28dpiの新生ニューロン内では、LTP誘導により既存のニューロン内で発現誘導される最初期遺伝子、Zif268の発現が、LTP誘導依存的に上昇することが観察された。12dpiでのLTP誘導により、誘導層特異的なスパイン数とスパイン断面積の増大が、16dpiでのLTP誘導では、誘導層特異的なスパイン数の減少が示された。また、21dpiでのLTP誘導により、誘導層特異的なスパイン断面積の増大が観察された。これらの結果は、各条件3個体からの観察により再現性が確認されたともに、定量的に有意なものであった。以上から、海馬の情報獲得が、発達時期毎の新生ニューロンの既存回路網への統合様式に異なる影響を与えることが明らかとなり、また、発達時期毎の新生ニューロンが、獲得情報に対して異なる役割を果たすことが示唆された。
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Research Products
(4 results)