2009 Fiscal Year Annual Research Report
X線ナノCTによる脳神経ネットワークの生後発達解析
Project/Area Number |
20700314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 治央 The University of Tokyo, 総括プロジェクト機構, 特任助教 (40444103)
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Keywords | X線顕微鏡 / シナプス / 神経ネットワーク |
Research Abstract |
放射光X線またはレーザープラズマX線を光源とした高分解能X線顕微鏡を用いて、マウス大脳皮質カラム内のニューロン及びシナプス構造の可視化を行った。活動している神経細胞を選択的に染色する手法を考案し、ゴルジ染色と組み合わせることでコントラストを増強することが可能になった。SPring-8のBL20XUビームラインにおいて、X線吸収投影像を用いたマイクロCT法により、直径1mmの円柱サイズに含まれる大脳皮質ニューロンの観察を行い、1μm程度の分解能で3次元可視化に成功した。本染色法を洗練化していくことで、神経ネットワークの構造を評価することが可能となり、生後発達における構造変化を定量的に解析する礎が整うと期待される。立命館SRセンター内に設置されている軟X線顕微鏡においては、鉛染色を主とした大脳皮質の超薄切片(厚さ:200nm)を用いた観察を行ったところ、ミトコンドリアとシナプスを同定することが可能であった。また、直径1μmの円筒状サンプルを用いて軟X線顕微鏡によるCT計測を行い、非破壊的な内部構造観察を行った。また、東北大学多元物質研究所内に設置されているEUV顕微鏡を用いて、大脳皮質の薄切片(厚さ:500nm)を用いた観察を行ったところ、光学顕微鏡とほぼ同等な分解能ながらも、30ナノ秒で良好なコントラストのある画像を取得することが可能であった。今後、本手法により神経回路の配線を追跡することが可能となれば、神経ネットワークに基づく脳高次機能の作動原理を解明する糸口になることが期待される。
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Research Products
(8 results)