2010 Fiscal Year Annual Research Report
X線ナノCTによる脳神経ネットワークの生後発達解析
Project/Area Number |
20700314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 治央 東京大学, 総括プロジェクト機構, 特任助教 (40444103)
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Keywords | X線顕微鏡 / シナプス / 神経ネットワーク |
Research Abstract |
放射光X線またはレーザープラズマX線を光源とした高分解能X線顕微鏡を用いて、マウス大脳皮質カラム内のニューロン及びシナプス構造の可視化を行った。米国カリフォルニア州バークレーにあるAdvanced Light Sourceの放射光ビームラインBL6.1.2に設置されている結像型軟X線顕微鏡において、鉛染色を主とした大脳皮質の超薄切片(厚さ:200nm)を用いた観察を行ったところ、シナプスを含む細胞小器官を同定することが可能であった。今回のX線顕微鏡の空間分解能は25nmであり、シナプスを解像するのに十分な性能を持つことが示された。また、東北大学多元物質研究所内に設置されているEUV顕微鏡を用いて、大脳皮質の薄切片(厚さ:500nm)を用いた観察を行ったところ、無染色の生体標本であっても、光学顕微鏡とほぼ同等な分解能で、良好なコントラストのある画像を取得することが可能であった。結像系の開発により、空間分解能が向上すれば、無染色標本のX線画像が取得可能であることが示唆された。これらの結果から、X線顕微鏡を用いることで、生体を染色せずに、しかも高い空間分解能で観察可能であることが明らかになった。今後、X線顕微鏡が高度化するに従い、生きている状態に近い生体の3次元微細構造をX線CTを用いて解析することが可能になると考えられる。同時に、本手法により神経回路の配線を追跡することが可能となれば、神経ネットワークに基づく脳高次機能の生後発達機序を解明する糸口になることが期待される。
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