2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経層構造において、軸索ソーティングを制御する分子基盤の解析
Project/Area Number |
20700319
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
来栖 光彦 National Institute of Genetics, 構造遺伝学研究センター, 助教 (50413985)
|
Keywords | ショウジョウバエ / キノコ体 / Neuromuscular junction / 神経回路 / シナプス形成 / Ncadherin / Tailess / ロイシンリッチリピート |
Research Abstract |
ショウジョウバエ脳において学習中枢キノコ体の軸索層構造がどのように作られるか, その分子基盤の探索を目的とする。キノコ体の位相的な軸索層構造の確立には、新生神経の軸索が選択的に束を形成し軸索層構造の中核領域へ投射することが必須である。これまでの解析によって、この新生神経において特異的に発現する分子として、細胞接着分子N-cadherin(N-cad)と受容体型チロシンフォスファターゼRPTPsを同定している。受容体型チロシンフォスファターゼの詳細な機能解析を行った結果、キノコ体の形成過程において、軸索の正確な伸長、分岐、新生神経の選択的な束形成に必要であることを明らかにした。これら結果は学術雑誌(Molecular and cellular neuroscience)に掲載された。また、分子生物学的、組織学的解析によって、新生神経において強く発現するNcadと成熟神経に強く発現するFasciclin IIタンパクの特異的局在は、転写後に確立されることを発見した。 また、キノコ体の大規模な神経層構造を形成するためには、神経幹細胞が継続的に分裂を行い、神経を供給し続けなくてはならないが、この特徴的な幹細胞の分裂に転写因子Taillessの活性が必須であることを明らかにした。これら結果は学術雑誌(Developmental Biology)に掲載された。 さらに、ショウジョウバエ神経筋特異的結合部に着目し、シナプスの標的選択やシナプス形成を制御する細胞表面タンパク質を探索することを目的とした過剰発現スクリーニングを行った結果、一連のロイシンリッチリピートタンパクがシナプス結合の標的選択過程の重要な仲介タンパクであることを発見した。これらの結果は、学術雑誌(Neuron)に掲載された。
|