2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小管変性を中心としたタウオパチー神経変性機序の解明
Project/Area Number |
20700324
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宮坂 知宏 Doshisha University, 生命医科学部, 助教 (90342857)
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Keywords | タウ / 認知症 / 線虫 / 神経細胞死 / 微小管 / チューブリン / RNAi / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
タウオパチーとは変性神経細胞内に微小管結合タンパク・タウからなる封入体を形成する疾患の一群である。タウオパチー脳にみられる変性神経細胞ではタウの蓄積以外の主要な病変として微小管の消失が知られている。このタウの蓄積と微小管の消失には何らかの関連が疑われているものの、その因果関係については不明であった。本研究では実験的な微小管変性状態がタウによる神経毒性に与える影響について検討した。 微小管は細胞内における主要な骨格タンパクであり、細胞の構造の維持、細胞分裂、細胞内輸送など多くの重要な生命活動を担っている。そのため、個体レベルでのチューブリン発現低下は不可能であった。一方、Mec-12は線虫のtouch neuronに特異的に発現するチューブリンであり、その神経機能以外には影響を及ぼさないことが知られている。また、この神経の機能異常はタッチアッセイによって簡便に検出できる。さらに、線虫はフィーディングRNAi法による特異的な遺伝子発現抑制が可能であり、本研究の目的を遂行できる唯一のin vivo実験系といえる。コントロール線虫に対するMec-12の不完全な発現抑制は中程度の神経機能障害を呈した。一方、タウを発現する線虫では、mec-12RNAiによる機能障害がより強く惹起された。これより、チューブリンの発現低下により、タウの神経毒性が惹起されることがあきらかとなった。つぎに、タウ発現により機能異常を呈する線虫にヒトチューブリンを発現させた結果、タウによる機能異常が軽減された。以上より微小管の消失自体がタウオパチー発症の鍵であり、タウ/チューブリンの発現比を正常な範囲にとどめることがタウオパチー予防に重要であると考えている。現在これらタウ線虫を用いた生化学的解析をすすめ、神経障害時のタウ、チューブリンの挙動、さらには治療へ向けた薬物スクリーニングを進めている。
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Research Products
(2 results)