2009 Fiscal Year Annual Research Report
二分脊椎症の発症機序における葉酸代謝経路とZic遺伝子の関係
Project/Area Number |
20700326
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤見 峰彦 The Institute of Physical and Chemical Research, 行動発達障害研究チーム, 研究員 (80322452)
|
Keywords | Zic / 二分脊椎症 / MTHFR / shroom3 |
Research Abstract |
本研究は二分脊椎症に関わるとされるZic遺伝子と、二分脊椎症の発症リスクを低減する葉酸に着目し、両者の関係を明らかにすることを目的とした。 葉酸代謝経路上特に重要なMTHFR遺伝子についてMorpholino Oligo(MO)を作製、胚に注入し遺伝子発現量を下げた胚について観察を行ったが神経管閉鎖異常の誘導が観察されなかった。 次にMO注入胚について遺伝子発現レベルでの解析をrealtime-PCRを用いて定量的に解析を行った。最新の知見で、Wnt/canonical経路とZicの間に相互作用がある可能性が指摘された。この経路に関わる遺伝子には、二分脊椎症との関連が指摘されているものが多数存在する。そこで対象として、MTHFR_MO、 XZic2_MOの他、T-cell specific factor 3_MOを注入した胚についてMTHFR遺伝子とT-cell specific factor 3の下流であり神経管閉鎖に重要な役割を持つshroom3遺伝子の発現量を比較した。するとMTHFRの発現はXZic2_MO注入胚においてMTHFR_MO注入胚と同程度にまで減少していた(uninjection胚の約60%)。 驚くべき事にT-cell specific factor 3_MO注入胚ではuninjection胚の約40%にまで減少していた。さらに全てのMO注入胚で、shroom3の発現がuninjection胚の約20-30%に低下していることが判った。 本研究の結果は、葉酸代謝経路の遺伝子が、XZic2やT-cell specific factor 3(Wnt/canonical経路)の制御を受けている可能性を示しており、これまで不明であったこれら遺伝子間の関係性を示唆するとともにその解明の切り口としてWnt signal経路やshroom3などを提示したという意味で意義深いと考える。
|