2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性神経因性疼痛における上位中枢プリン受容体の役割
Project/Area Number |
20700328
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
右田 啓介 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (10352262)
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Keywords | プリン受容体 / 神経因性疼痛 / 糖尿病 / 中枢 / グリア |
Research Abstract |
糖尿病や末梢神経障害により生じる疼痛の症状には, 痛覚過敏やアロディニアが知られ, 現在臨床で使用されている治療薬の効果が低く, 新薬の開発が切望されている. 慢性疼痛は上位中枢に持続的に刺激が加わるため, 痛覚伝達に関与する上位中枢各部位でのシナプス伝達に影響を及ぼし, 慢性化が構築されている可能性が考えられる. これまでのin vivoイメージング解析により, 視床や大脳皮質帯状回が末梢神経結紮後に特異的に活性化する部位として見出されている. そこで本研究は, アロディニアを発症する糖尿病あるいは坐骨神経結紮による大脳皮質帯状回シナプス応答への影響について検討する. 本年度は, 特に抑制性シナプス応答への影響について, 坐骨神経部分結紮およびストレプトゾトシン誘発性糖尿病の2週モデル動物を用いて検討した. 両モデル動物の大脳皮質帯状回II-III層および錐体型細胞において, 自発性抑制性シナプス後電流および微小抑制性シナプス後電流のピーク電流に大きな差は見られなかった. 時定数や振幅数には多少の違いが観察されたが, 有意な差ではなかった. これらのことから, 末梢神経障害後にみられる大脳皮質帯状回部位での活性化は, 抑制性シナプス伝達の異常によるものではないことが示唆された. しかしながら, 時定数や振幅数に有意な差ではないが小さな変化が見られたことや, モデル動物作製後2週のマウスについての解析であり, 今後さらに週齢の進んだモデル動物を解析し, 上位中枢でのシナプス応答への影響を検討することが必要である.
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Research Products
(6 results)