2008 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前終末を誘導する接着分子・受容体の探索と誘導の調節機構の解明
Project/Area Number |
20700329
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 知之 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (90372367)
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Keywords | シナプス形成 / ゼブラフィッシュ / 軸索終末 / シナプス小胞 / 精神遅滞 / ILIRAPL1 / 嗅神経細胞 / 原因遺伝子 |
Research Abstract |
Interleukin 1 receptor accessory protein-ike 1(ILIRAPL1)は細胞外にイムノグロブリンドメイン、細胞内にTIRドメイン及び他の分子との顕著な相同生を持たないC末端ドメインより構成される膜タンパク質で人の家族性精神遅滞の原因遺伝子として報告されている。私たちは先に開発したゼブラフィッシュ嗅神経細胞特異的遺伝子操作系を用いてシナプス形成におけるIL1RAPL1の役割について解析を行った。ゼブラフィッシュ嗅神経細胞ではシナプス形成に伴って、VAMP2-EGFPで可視化したシナプス小胞が軸索終末に急速に集積し、軸索終末は複雑な形から単純な形に形態変化することが分かっている。モルフォリーノアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてIL1RAPL1bの翻訳を抑制するとシナプス小胞の集積及び、軸索終末の形態変化が阻害された。さらに、TIRドメインからのシグナル伝達を阻害する点変異を導入したIL1RAPL1b(IL1RAPL1-P455H)を発現させると軸索終末の形態変化は阻害されたが、シナプス小胞の集積は阻害されなかった。野生型IL1RAPL1bの発現はシナプス小胞の集積を顕著に増加させたが、IL1RAPL1-P455H変異を導入してもシナプス小胞の集積の増加は影響されなかった。一方ドメイン構造のよく似たInterleukin 1 receptor accessory protein(IL1RAcP)とC末端ドメインをスワップした変異体はIL1RAPL1bによるシナプス小胞の集積を増加させる効果を消失した。これらのことから、IL1RAPL1はTlRドメインを介して軸索終末の形態変化を、一方C末端ドメインを介してシナプス小胞の集積を調節することが示唆された。
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