2009 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前終末を誘導する接着分子・受容体の探索と誘導の調節機構の解明
Project/Area Number |
20700329
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 知之 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 講師 (90372367)
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Keywords | シナプス形成 / 軸索終末分化 / ゼブラフィッシュ / 嗅神経細胞 / カルシウム / シナプス小胞 / IP3 / カルシウムチャンネル |
Research Abstract |
神経細胞間のシナプスの形成と再編は脳の発達に伴い神経回路が作られる際、記憶学習の際に起こる極めて重要なイベントであるのにもかかわらず、その分子機構はいまだ不明の部分が多い。神経細胞の軸索終末に局在する種々の細胞接着分子及び受容体分子の中からin vivoにおいて実際にシナプス前終末への分化を調節する分子をスクリーンし、その調節機構を明らかにすることを本課題の目標とした。これまでにゼブラフィッシュ嗅神経細胞の軸索終末の分化過程を可視化しながら、同時に種々の遺伝子操作を行うという手法を確立し、カルシウム依存型タンパク質脱リン酸化酵素(calcineurin)による転写因子NFATの活性化とcAMP依存性タンパク質リン酸化酵素(PKA)とその下流の転写因子CREBによる調節が軸索終末の分化に重要であることを見出していた。平成21年度にはこれらの分子の上流に位置して、calcineurin及びPKAを活性化する分子をスクリーンした。その結果、電位依存性のカルシウムチャネルを介したカルシウムシグナルがcalcineurinの上流に、一方、IP3によって小胞体内から放出されるカルシウムによるシグナルがPKAの上流として、シナプス形成に伴う軸索終末の膜形態の変化と、シナプス小胞の集積を調節することを見出した(Yoshida et al., 2009)。これらの研究成果は神経回路形成の調節機構の解明のための重要な知見となると考えられる。
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