2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700332
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
有村 奈利子 Tamagawa University, 脳科学研究所, グローバルCOE准教授 (20420375)
|
Keywords | 軸索 / 神経 / 輸送 / TrkB / CRMP-2 |
Research Abstract |
脳神経系は極めて精巧な神経回路網を有する。神経回路は、軸索と樹状突起という2つの異なる神経突起が複雑にシナプスを形成することで機能している。しかしながらこれらの突起の形成メカニズムについては不明な点が多い。以前私はCRMP-2が軸索の伸長や退縮に関与することを明らかにしてきた。さらに近年、CRMP-2が軸索/樹状突起の運命決定を担うことが提唱されている。最近私はCRMP-2がSlp1と結合することを明らかにした。Slp1はRab27と結合し、小胞輸送に関与することが示唆されている。神経栄養因子受容体、Trk受容体は軸索先端で神経栄養因子刺激依存的に活性化し軸索伸長を促進する。しかしながら、Trk受容体の神経突起先端への輸送機構は明らかではなかった。私は、CRMP-2がSlp1と結合し、Trk受容体の輸送を制御することを見出した。"海馬神経細胞においてSlp1とRab27は小胞状の局在を示した。Slp1はCRMP2と直接結合し、活性化型Rab27と三者複合体を形成した。また、Slp1はCRMP-2を介してKinesin-1の軽鎖KLCと結合した。CRMP-2やSlp1、Kinesin-1の軽鎖の発現をsiRNAを用いたRNA干渉法により抑制すると、輸送されずに停止しているTrkB-mCherry小胞の数が増加し、軸索遠位方向に輸送されるTrkB-mCherry小胞の数は減少した。さらに膜染色法などを用いてTrkBの膜への移行が阻害されていること、BDNF刺激依存的なERKのリン酸化が抑制されていることなどを明らかにした。これらの結果は、Trk受容体を含む輸送小胞はSlpl/Rab27複合体やCRMP-2を介してKinesin-1と結合し、軸索遠位方向に輸送されることと、この輸送がBDNF刺激による軸索伸長機構を制御しうることを示唆している。
|
Research Products
(4 results)