2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700332
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
有村 奈利子 Tamagawa University, 脳科学研究所, グローバルCOE准教授 (20420375)
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Keywords | CRMP-2 / キネシン / ダイニン / 順行性輸送 / 逆行性輸送 |
Research Abstract |
脳神経系は極めて精巧な神経回路網を有する。神経回路は、軸索と樹状突起という2つの異なる神経突起が複雑にシナプスを形成することで機能している。しかしながらこれらの突起の形成メカニズムについては不明な点が多い。以前私はCRMP-2が軸索の伸長や退縮に関与することを明らかにしてきた。さらに近年、CRMP-2が軸索/樹状突起の運命決定を担うことが提唱されている。最近私は、Trk受容体を含む輸送小胞はSlp1/Rab27複合体やCRMP・2を介してKinesin-1と結合し、軸索遠位方向に輸送されることと、この輸送がBDNF刺激による軸索伸長機構を制御しうることを明らかにした。この輸送は順行性輸送と呼ばれるが、軸索内には逆行性と呼ばれる軸索遠位から細胞体への輸送があることが知られている。物質を正しく軸索内部に配置するためには、順行性及び逆行性輸送が協調的に機能する必要があるが、その分子的相関関係については不明な点が多かった。私はCRMP-2と逆行性輸送制御モーター分子ダイニンが相互作用することを明らかにした。CRMP-2はダイニン(cytoplasmic dynein)の重鎖(heavy chain)と直接結合した。CRMP-2のダイニン結合部位を細胞内で過剰発現させると、ダイニン誘導型の微少管の輸送が阻害された。以上の結果から、CRMP-2はダイニンに結合して、ダイニンの機能を阻害する可能性が示唆された。CRMP-2はキネシンに結合して物質の順行性輸送を仲介する一方で、ダイニンに結合して逆行性輸送を阻害し、結果として、順行性輸送を適切に制御しているのかもしれない。
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Research Products
(3 results)