2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン病に対する凝集阻害ペプチドの新規脳内デリバリーによる分子治療
Project/Area Number |
20700336
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
ポピエル ヘレナ・明子 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・疾病研究第四部, 外来研究員 (40467593)
|
Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / ドラッグデリバリー / 血液脳関門 / 創薬 / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / 凝集阻害 |
Research Abstract |
近年、アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、蛋白質のミスフォールディング・凝集が神経変性を引き起こすという共通の発症分子メカニズムが考えられるようになった。研究代表者らは異常伸長PolyQ蛋白質の凝集を治療標的として、これまでに異常伸長PolyQ鎖結合ペプチドQBP1(SNWKWWPGIF)を同定し、PolyQ病モデルショウジョウバエに対しQBP1の遺伝子発現による治療効果、さらに細胞膜透過型PTD-QBP1の体外からの投与による治療効果を示した(Hum Mol Genet, 2003、Mol Ther, 2007)。しかしPolyQ病モデルマウスに対しては、 PTD-QBP1の血液脳関門(BBB)通過効率・脳内浸透性が悪く、わずかな治療効果が得られたのみであった。 今年度は、QBP1を体外からの投与によりBBBを通過し、脳内広範囲に効率良く到達する治療分子としての開発を目的とし、まず1、様々な細胞膜透過型ペプチド(PTD)を付加したQBP1のBBB 通過効率をin vitro BBB再構築系を用いて検討し、効率は低いがBBBを通過するPTD-QBP1を幾つか同定した。今後はさらに細胞外分泌シグナルの付加などによりBBBを高効率で通過するQBP1のデザインが期待できる。そして2、脳内移行性・生体内安定性に優れた物性を持つQBP1類似化合物の設計を目指し、まず活性に必須な基本骨格を明らかにするためQBP1のアミノ酸置換ミュータントを作製し、それらのPolyQ凝集阻害活性の検討を行った。その結果QBP1の最小活性配列(WKWWPGIF)と活性に必須なアミノ酸(W3, W5, W6, I9, F10)が明らかとなった。今後QBP1の活性に必須なアミノ酸骨格を基本としたQBP1類似化合物による創薬が期待できる。
|
Research Products
(11 results)