2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700341
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
宮田 茂雄 Musashino University, 薬学研究所, 助教 (40366836)
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Keywords | 糖尿病 / うつ病 / 不安障害 / グルタミン酸神経 / 扁桃体 |
Research Abstract |
糖尿病患者はうつ病や不安障害といった精神神経系疾患に罹患する危険性が高いことが知られているが、その原因については不明な点が多い。グルタミン酸神経系は学習や記憶、情動、知覚の伝達など多種多様な生理機能の発現に関与していることが示唆されている。特に、扁桃体におけるグルタミン酸神経系の活性化は恐怖記憶の形成や再生に必須の反応である。また、扁桃体は前頭前皮質によりその活性が強く制御されており、恐怖記憶の再生や消去を調節されている。そこで本研究では扁桃体に着目し、扁桃体におけるグルタミン酸神経系の機能に対する糖尿病の影響について検討した。ICR系雄性マウス(4週齢)を用いた。Streptozotocin(200mg/kg)を尾側静脈内投与することにより糖尿病を誘発した。この処置から2週間飼育し、血糖値が400mg/dL以上のものを糖尿病マウスとして使用した。糖尿病マウスの扁桃体における組織中グルタミン酸含有量は、対照群マウスと比べ増加していたが、細胞外グルタミン酸量に有意な変化は認められなかった。扁桃体におけるAMPA受容体のサブユニットであるGluR1サブユニット発現量に対して、糖尿病は有意な影響を与えなかった。しかし、リン酸化GluR1サブユニット(phospho-Ser831)およびリン酸化GluR1サブユニット(phospho-Ser845)の発現量は、対照群と比べて有意に増加していた。恐怖条件付け試験の結果、糖尿病マウスは対照群マウスと比較して有意にすくみ行動持続時間が増加していた。恐怖条件付け試験における恐怖記憶形成機構は扁桃体依存的であると考えられていることから、糖尿病マウスの扁桃体ではグルタミン酸AMPA受容体を介した情報伝達が亢進しており、不快情動反応の形成が促進される一因になっている可能性が示唆された。
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