2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖欠損マウスにおけるラフト構造破壊と膜局在神経再生分子群の機能制御メカニズム
Project/Area Number |
20700342
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
田島 織絵 Chubu University, 生命健康科学部, 講師 (10362237)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / ノックアウト / 神経変性 / ラフト / 中枢神経 / ガングリオシド / 神経再生分子 / Ninjurin2 |
Research Abstract |
GM2/GD2合成酵素遺伝子及びGD3合成酵素遺伝子ダブルノックアウト(DKO)マウスはガングリオシドとしてGM3のみを発現しており, 重篤な神経症状や組織変性像を認める. 本DKOマウスでは神経変性関連遺伝子であるEcellの発現亢進が認められる一方で, Ninjurin2の発現は著明に低下している. 本年度は, これら神経変性関連遺伝子の正常な生体内機能や神経系調節における役割を検討するために以下の実験を行なった. 1. EcellはDKOマウスの小脳で特異的にmRNAの発現が増大していた. タンパクレベルでの発現を検討した結果, 未成熟型と成熟型のバンドを検出したが, DKOマウスにおいて成熟型Ecellの発現量が減少していた. また, Ecellの一部はラフト分画に分布していた. 2. Ninjurin2のmRNA発現分布を検討した結果, 生体内においては神経系組織特異的に発現していたが, マウス細胞株においてはNeuro2やB78では比較的発現量が低く, L cellやN19, N20.1で発現が高かった. 3. N'末及びC'末mycベクターを用いて遺伝子導入細胞株を構築し, Western blottingにてそれぞれ21, 19kDa及び20kDaのバンドを確認した. また, 抗c-myc抗体による免疫染色を行いNinjudn2の細胞内局在を検討した結果, 細胞核周辺に分布し, 細胞膜では検出できなかった. 4. Neuro2aを用いてmycタグ融合Ninjurin2安定発現株を樹立した. Ninjurin2高発現株において, 細胞増殖能の変化は認められなかったが, 凝集能の亢進を認めた. また, Ninjurin2高発現株における凝集反応はCa^<2+>依存的であり, Ninjurin2発現細胞間で起こることを確認した. 現在, DKOマウスにおけるラフト構造の解析やNinjurin2高発現による凝集能亢進の分子メカニズムの解析を進めている.
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