2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700349
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 巌 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (90362532)
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Keywords | ニューロン / シナプス / 神経回路 |
Research Abstract |
本研究目標は音源地図作製の神経回路機構を明らかにする事である。音源地図は下丘で形成される事が分っているが、その詳細は解っていない。音源地図形成に関わる神経回路機構の解明のため、外側毛帯核における神経活動の記録を行った。外側毛帯核で左右の音圧差が検出されると考えられている。小型のスピーカーを左右の耳に音漏れが無いようにセットし、様々な両耳間音圧差と両耳間時間差を人工的に作り出し、神経細胞応答の反応を微小電極を用いたin vivo細胞外記録法で単一細胞の応答を調べた。 その結果、左右の音圧差の検出には左右の時間差も関与している事が解った。その関与には両耳間をつなぐinter aural canalと呼ばれる構造が関わっており、音圧の特徴を抽出されると考えられている角状核に於いて既に、音圧差と時間差の関係により神経活動の応答量が変化し、inter aural canalを通して鼓膜で音波が打ち消されると思われる音の条件下で角状核の応答の発火頻度が極めて減少した。 また、角状核に於けるその際立った応答の減少は、外側毛帯核での音圧差検出感度をより高める作用が有った。音圧差依存の応答曲線が、時間差を生理的な範囲で調節する事で、急峻になった。さらに外側毛帯核の時間差、音圧差による応答は相互抑制の強弱及び角状核の時間差と音圧差の応答の関係で説明する事が出来る事を計算機上のシュミレーションを用いて示した。下丘での音源地図形成の神経回路解析の進展に不可欠な音圧差の検出の詳細が解り今後の進展がさらに期待できる。
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