2008 Fiscal Year Annual Research Report
錐体視細胞に高い時間分解能と広いダイナミックレンジをもたらす分子機構の解析
Project/Area Number |
20700350
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橘木 修志 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (70324746)
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Keywords | 視細胞 / 錐体 / GRK / Sモミュリン・s26 / 発色団代謝経路 / ALOL反応 |
Research Abstract |
平成20年度計画(1)錐体高い時間分解能をもたらす分子メカニズムの解析 錐体視細胞に特異的な受容体キナーゼ(GRK7)は、桿体型のキナーゼ(GRK1)と比べて高い活性を有する。この高活性をもたらしている部位を、GRK1とGRK7のキメラタンパク質を作成して解析した。その結果、GRK7のC末端近傍のアミノ酸20残基が高い活性の原因となっていることを特定した。本研究結果で特定された部位は、これまで機能が未知であった部位であり、今後、GRKタンパク質の活性と構造の相関を理解する上で重要な知見であると考えられる。 平成20年度計画(2)錐体が広いダイナミックレンジを持つ分子メカニズムの解析 受容体キナーゼ活性調節タンパク質であるSモジュリン・s26による活性調節様式が錐体・桿体視細胞でどのように異なるのかを解析した。得られた結果から、錐体においては、GRK活性調節タンパク質であるs26が桿体と比べて20倍以上過刻に発現し、より強力に調節を行っていること、さらに、親和性の違いの影響などから、錐体でキナーゼが活性調節を受ける幅は、桿体でよりも広いことがわかった。また、平成20年度には、錐体特異的な発色団代謝経路に関わる重要な新規反応を同定することに成功した(錐体視細胞におけるALOL反応)。これらの結果は、さまざまな光環境下で働くことのできる錐体の光応答特性をよく説明するものであり、錐体の広いダイナミックレンジを支える分子機構を理解する上で重要な知見であると考えられる。
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