2009 Fiscal Year Annual Research Report
錐体視細胞に高い時間分解能と広いダイナミックレンジをもたらす分子機構の解析
Project/Area Number |
20700350
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橘木 修志 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (70324746)
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Keywords | 視細胞 / 錐体 / RGS9 / 順応 / cGMP |
Research Abstract |
平成21年度計画1:錐体に高い時間分解能をもたらす分子メカニズムの解析 錐体が桿体よりも高い時間分解能を持つ一因として、光受容により生じた活性型トランスデューシンが、錐体ではより高効率で不活性化されることが挙げられる。その分子基盤として、不活性化を触媒する酵素であるRGS9が、錐体の方がより多く発現していることが知られている。私は、世界に先駆けて錐体と桿体でのRGS9の発現量の差をこれまでに測定してきたが、不活性化が生じる視細胞外節において、どれくらい発現量に差があるのかは不明だった。そこで、錐体・桿体視細胞の外節部分におけるRGS9の量差を測定した。その結果は、昨年度に明らかにした錐体・桿体でのトランスデューシンの不活性化効率の違いを十分説明するものであった。 平成21年度計画2:錐体広いダイナミックレンジを持つ分子メカニズムの解析 錐体における広いダイナミックレンジをもたらす分子機構として、光応答の際の細胞内情報伝達で働いているセカンドメッセンジャー(cGMP)の代謝に着目した。光応答の際、細胞内のcGMP濃度は減少するが、応答が回復する際にはcGMPの再合成が必要である。この再合成の効率は、視細胞の置かれた光環境に応じて調節される。この調節の幅が、錐体では桿体よりも大きいことが解った。これにより、桿体と比べて錐体がより広いダイナミックレンジをもつ一因であることが示唆された。このほか、当初の予定通り、ダイナミックレンジの拡大に働いていると思われる錐体特異的Ca結合タンパク質を探索したが、見いだすことは出来なかった。
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