2008 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経シナプス前末端におけるカルシウムドメインの生後発達
Project/Area Number |
20700351
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 行宏 Doshisha University, 研究開発機構, 嘱託研究員 (40460696)
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Keywords | ニューロン / シナプス / 神経回路 |
Research Abstract |
中枢神経シナプス前末端におけるカルシウムドメインを可視化するため、脳幹聴覚伝導路の巨大シナプスcalyx of Heldを研究モデルとし、シナプス前末端ヘカルシウム蛍光指示薬Oregon Green BAPTA 5Nをパッチクランプ電極より注入した。活動電位によって誘発されるカルシウムの一過性上昇を共焦点顕微鏡点スキャンによって観察すると、動物が聴覚を獲得する以前・生後7日齢では、シナプス前末端の放出側辺縁に沿ってサブミリセカンドで立ち上がるカルシウム上昇が一様に記録された。放出側辺縁を1〜1.5μmに渡り0.2μmの空間解像度で精密にスキャンしたが、カルシウム上昇はこの微少領域内では空間的な差異を示さず、calyx of Heldシナプス前末端ではカルシウムドメインのサイズを光学的手法によって直接測定することは不可能であることが分かった。しかしこのカルシウムー過性上昇は、聴覚獲得後の生後14日齢では、その空間分布が疎になり振幅も減少することが明らかになった。Kチャネル阻害薬TEAを用いて活動電位幅を人為的に制御し、発達に伴う活動電位幅の変化がカルシウムー過性上昇に与える影響を検討したがその影響は小さく、生後発達に伴うカルシウムー過性上昇の生後発達変化は、カルシウムチャネル密度の減少によってもたらされることが推測された。カルシウムチャネル密度の減少が、電気生理学的に提唱されているカルシウムドメイン変化の主因であることを証明するため、カルシウムカルシウム阻害薬ω-Agatoxin存在下においてシナプス伝達に対するカルシウムキレータEGTAの作用を検討したところ、EGTAによるシナプス電流抑制の効果は減少し、生後発達に伴うカルシウムドメインサイズの縮小には、カルシウムチャネル密度の減少が寄与していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)