2009 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経シナプス前末端におけるカルシウムドメインの生後発達
Project/Area Number |
20700351
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 行宏 Doshisha University, 研究開発機構, 嘱託研究員 (40460696)
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Keywords | ニューロン / シナプス / 神経回路 |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、脳幹聴覚伝導路の巨大シナプスcalyx of Heldシナプス前末端において、活動電位によって誘発されるカルシウムの一過性上昇は、聴覚の獲得を挟んで生後7~14日にかけて80%程度減少することが示された。このカルシウム上昇の減少には、シナプス前末端活動電位の短縮と、前末端に発現するカルシウムチャネルの密度の低下の関与が示唆されていた。両者の相対的な貢献度合を明らかにするため、calyx of Heldシナプス前末端へカルシウム蛍光指示薬Oregon Green BAPTA 5Nをパッチクランプ電極より注入し、活動電位または脱分極刺激によって誘発されるカルシウム応答を観察した。(1)生後7日のシナプス前末端に、生後14日齢の活動電位波形を電位固定よって適用したところ、カルシウム上昇の振幅は50%程度に抑制された。(2)矩形波による脱分極パルスを生後7日と14日のcalyx of Heldにそれぞれ適用したところ、生後14日シナプス前末端におけるカルシウム上昇の振幅は生後7日のおよそ半分であった。(3)さらにカルシウム上昇のキネティクスをもとに行ったシミュレーションでは、カルシウム上昇に対する不動性カルシウムバッファーの影響は認められず、カルシウム蛍光シグナルは細胞膜を透過するカルシウムの量を直接反映していると考えられる。(1)(2)(3)より、カルシウム一過性上昇の生後発達に伴う減少は、活動電位幅の短縮とカルシウムチャネルの密度低下の両機構が同等に貢献していることが明らかとなった。以上の結果を専門誌に投稿し、現在返答を待っている状況である。
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Research Products
(3 results)