2008 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質が制御する大脳基底核の神経生理作用と運動制御機構の解明
Project/Area Number |
20700353
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
佐野 裕美 National Institute for Physiological Sciences, 統合生理研究系, 特任助教 (00363755)
|
Keywords | 神経科学 / 大脳基底核 / 線条体 / 運動 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
大脳皮質が大脳基底核を制御する機構を明らかにするため、平成20年度は特定の波長の光に応答して細胞を興奮させる作用のあるChR2(channelrhodopsin-2)を大脳皮質来線条体経路あるいは大脳皮質-視床下核経路に特異的に発現させるウイルスベクターを利用した遺伝子導入方法の確立を試みた。最近開発された狂犬病のGタンパクを利用したレンチウイルスベクターは、ウイルスの注入部位から逆行性に遺伝子導入できる技術であり、この技術を利用すれば、線条体あるいは視床下核にレンチウイルスベクターを注入することにより、大脳皮質-線条体経路あるいは大脳皮質-視床下核経路に特異的にChR2を発現させることができる。大脳皮質への光照射により、これらの神経経路を特異的に興奮させることができるため、大脳皮質が大脳基底核を制御する機構を解明するために極めて重要な技術開発である。 ChR2をコードするcDNAを組み込んだ狂犬病のGタンパクを利用したレンチウイルスベクターを作製し、野生型マウスの線条体に局所注入した。注入から1ヶ月後に脳を摘出し、ChR2の発現を組織化学的に解析した。その結果、大脳皮質、視床、黒質緻密部の極一部の神経細胞にChR2の発現が認められた。しかし、より多くの神経細胞にChR2を発現させるため、ウイルスベクターの濃縮率を上げてさらに高い力価のウイルスベクターを作製し、野生型マウスの線条体に局所注入した。このマウスのChR2の発現を解析したところ、より多くの大脳皮質、視床の神経細胞にChR2の発現が認められた。
|