2008 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起法を用いた単一アクティブゾーンの構造・機能の解析
Project/Area Number |
20700357
|
Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山下 貴之 Okinawa Institute of Science and Technology, 細胞分子シナプス機能ユニット, 研究員 (40466321)
|
Keywords | シナプス / ケイジド化合物 / calyx of Held / カルシウム / 伝達物質放出 |
Research Abstract |
シナプス前末端においてケイジドCa化合物を2光子励起刺激法で活性化するという新たな光学的手法の開発に向け、本年度は、生後8-10日目のcalyx of Heldシナプス前末端にAlexa fluor 594(シナプス前末端の構造をモニターするため)、Oregon Green BAPTA 5N(細胞内Ca濃度の測定のため)をパッチ電極を介して注入し、2光子励起顕微鏡にてシナプス前末端における局所Ca濃度を測定する実験系を立ち上げた。 局所的伝達物質放出を定量的にモニターするためには、後シナプス側において、伝達物質受容体がシナプス小胞から放出される伝達物質を確実に感受していることが条件となるが、この問題は未解決であった。そのため、上記と並行して、calyx of Heldシナプスにおいて単一シナプス小胞から放出される伝達物質が後シナプス受容体を飽和するか否かについて、シナプス前末端に伝達物質をホールセルピペットを介して直接注入することにより検討した。室温および生理的温度において、単一小胞の開口放出に由来する微小後シナプス電流は、シナプス前末端への高濃度の伝達物質注入によって増大した。このことから、単一シナプス小胞から放出される伝達物質は後シナプス受容体を飽和しないことが明らかとなった(Yamashita et al., J. Physiol., in press)。さらに、複数小胞由来の伝達物質は後シナプス受容体にdesensitizationを引き起こし、受容体の伝達物質感受性を低下させてしまう(Yamashita et al., J. Physiol., in press; Koike-Tani et al., J. Physiol., 2008)ことから、本研究課題に関する実験においては後シナプス受容体のdesensitizationを阻害する必要があることが示された。
|