2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ノックアウトから見えてきたマイクロRNAが寄与する生命現象の解明
Project/Area Number |
20700364
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蓮輪 英毅 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (50343249)
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Keywords | マイクロRNA / ノックアウトマウス / 翻訳制御 |
Research Abstract |
マイクロは20塩基程度の短いノンコーディングRNAであり標的となるメッセンジャーRNA分子を認識しそのメッセンジャーRNAからタンパク質への翻訳を阻害することで、遺伝子の発現を転写後に調節していると考えられている。研究代表者はこれまでに、任意のマイクロRNAノックアウトしたマウスを作製し、そのマウスの表現型の解析を通して、マイクロRNAが寄与する生命現象を明らかにすると同時に、in vitroの培養系で標的候補遺伝子を明らかにした。 in vitro系を検証するために、マイクロRNAノックアウトマウスの下垂体の可溶化物を用い標的候補遺伝子について、ウエスタンブロット法を行った。その結果、1つの遺伝子産物であるタンパク質が優位に減少していることを明らかにした。その他のものについては次の2つのグループに分かれることがわかった。(1)下垂体で発現しておりタンパク質レベルでも確認できるが、マイクロRNAの有無で変化がないもの(2)標的組織である下垂体で発現していないもの。こららのことから、seed配列を出発点としてPC上で候補遺伝子として数百以上の遺伝子があがってくるが、マイクロRNAが生命現象を制御する組織でゲートをかけることで、マイクロRNAが調節する生命現象に関わる標的遺伝子はほんの数個しかないことが示唆された。この結果は、マイクロRNAノックアウトマウスを作り、そのマウスで見られた表現系を詳細に解析することで初めてわかったことであり、強制的な発現系など人工的な実験系ではわかり得ない情報をもたらすことができた。
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