2008 Fiscal Year Annual Research Report
肺パスツレラ菌のRTX toxinの機能解析とその検出・同定法の開発
Project/Area Number |
20700369
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 啓 Tokyo Medical University, 医学部, 講師 (20384969)
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Keywords | 細菌 / 微生物 / 応用微生物 / 感染症 / 蛋白質 / RTX toxin / 肺パスツレラ |
Research Abstract |
Pasteurella pneumotropica(以下肺パスツレラ菌)はげっ歯類におけるパスツレラ症の病原体であるが、その病原性因子は未だ明らかになっていない。Pastemllacneの病原体にはRTX(repeats in structural toxin)toxinという、特徴的な構造をとる高分子タンパク質を産生する菌種が多数存在し、重要な病原性因子と考えられている。肺パスツレラ菌もRTX toxinを産生する可能性があると考えられるが、肺パスツレラ菌とRDX toxinに関連する報告は皆無である。肺パスツレラ菌の病原性因子を明らかにするため、RTX toxinに着目し、肺パスツレラ菌からの検出と同定、さらにそのRTX toxinタンパク質の解析を試みた。肺パスツレラ菌ArCC35149のgenomic DNAからクローンライブラリーを作製し、得られたクローンを近縁種のRTX toxinをコードするプローブなどを用いてスクリーニングを行い、これにより得られた部分的な遺伝情報からinversePCRによってRTX toxinタンパク質と分泌に関連する全遺伝子配列を決定した.これらの結果、2種類のRTX toxinをコードする遺伝領域が同定された。そのうち、pnxlと命名したRTX toxinをコードする領域は、分泌されるRTX toxiiとTypeI分泌機構をコードする領域から構成されているが、pnxIIは分泌されるRTX toxinのみをコードしていた。何れのRTX toxinタンパク質もC末端側にRTX toxinの保存配列が複数存在し、N末端側に疎水性ドメインがありporeを形成するものと考えられた。これらの遺伝子産物はCaイオン存在下でヒツジとマウスの赤血球溶解能を有しており、当菌の病原性に関与していることが示唆された。また、肺パスツレラ菌野生株約40株の保有状況を調査した結果、pnxIは約8割、pnxIIは約4割の株が保有しており、多くの野生株に分布していることが明らかになった。
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