2009 Fiscal Year Annual Research Report
HApのX線回折現象を用いた骨組織異方性弾性率測定
Project/Area Number |
20700372
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤崎 和弘 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 助教 (90435678)
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Keywords | バイオメカニクス / 骨組織 / X線回折 / ハイドロキシアパタイト / 異方性 / 応力・ひずみ / 結晶構造 / インプラント |
Research Abstract |
【研究目的】 生体骨組織はマルチスケールの異方性構造に由来した異方性力学特性を有することが知られている。これは、オステオンの繊維方向やハバース管の走行方向、さらには、オステオンを構成するコラーゲン繊維、ハイドロキシアパタイト(HAp)結晶の配置・配向に依存する。本研究では骨組織内HApの結晶構造解析に基づいた異方性弾性率推定法を提案し、本手法の生体適用に向けた検証を行う。 【実施内容】 本年度研究計画に基づき、(1)骨構造の異方性弾性率測定、(2)異方性データの数値解析への適用、(3)X線測定手法の生体適用に向けた検証を行った。 骨軸方向を基準とした異方性弾性率を有する牛大腿皮質骨から板状の引張試験片を作製し、X線照射下で負荷試験を実施した。骨組織負荷時の応力-ひずみ関係と、X線回折により得られる組織内HAp結晶ひずみとの関係を調査し、組織弾性率がHAp結晶の変形割合に大きく依存することがわかった。この弾性率分布を数値シミュレーションに適用するため、ボクセルベースの大腿骨構造モデルを作成した。また、生体適用に向けた検討として、皮膚組織のX線吸収特性と、皮膚組織が回折X線計測に与える影響を調査した。実際に皮膚・皮下組織を透過する回折X線を利用し、チタン試験片のひずみ測定を実現した。 【結果の意義】 現在、X線CTを利用した骨組織の微視構造解析や、X線回折による応力、ひずみ測定が進められている。本年度の研究にて、皮膚・皮下組織下に置かれた結晶性材料についてもX線回折によるひずみ測定が適用できることが示された。本手法にて生体組織内HApの微視的構造特性を計測できれば、骨再生や骨粗しょう症を定量的に評価するための新しい診断技術となる。
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