2008 Fiscal Year Annual Research Report
食塊撹拌の計算力学モデルによる胃の機能論の力学的再構成
Project/Area Number |
20700373
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 陽介 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (60431524)
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Keywords | 生物・生体工学 / 計算物理 / モデル化 / 流体 / 生理学 |
Research Abstract |
胃における食塊撹拌は, 気体(消化管内ガス), 固体成分を含む液体(食塊・消化液), および胃壁の複雑な混相流問題である. 高精度な格子法であるInterpolated Differential Operator(IDO)法を用いたモデル化を検討した結果, 消化管内ガス, 液体, 胃壁の相互作用まではモデル化可能であるが, 最終到達点である固体成分を含む食塊の撹拌に対しては, 現時点ではモデル化が困難であることが分かった. これは食塊撹拌において, 食塊内部の2つの固体成分が接近した場合に, 格子法では数値的に不安定になることが主な理由である. そこで流体計算に格子を用いない手法として, 粒子法に基づくモデル化を検討した. ここでは非圧縮性流体のための粒子法として, Moving particle semi-implicit (MPS)法を採用した. 粘性項の大きい流体であるため, 拡散数による時間刻み幅の制限が非常に厳しくなる. このため, サブステップ解法(一部は陰解法)を取り入れた部分段階時間積分法を適用し, これにより大きな時間刻みに対する解析が可能となった. 粒子法では近傍粒子探索にかかる時間が問題となるが, 粘性項では粒子の移動がないため, サブステップ内で近傍粒子のマップを再構成する必要がなく, 部分段階積分法は非常に有効な方法となる. 少数の変形する固体を含む流れ問題に適用し, 固体同士が接触するような場面においても安定に計算が実行できることを確認した. このような問題を解くことのできる手法はあまり確立されておらず, 特に生理流体問題の多くについて応用可能な手法を構築できた. しかしながら, 格子法におけるAdaptive Mesh Refinement (AMR)法のような可変解像度の手法ではないため, 粒子数を多く必要とする. したがって計算時間の改善のため, MPIによる並列化やGPGPUを用いた高速計算などの導入が必要であることが示唆された.
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