2009 Fiscal Year Annual Research Report
食塊攪拌の計算力学モデルによる胃の機能論の力学的再構成
Project/Area Number |
20700373
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 陽介 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (60431524)
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Keywords | 生物・生体工学 / 計算物理 / モデル化 / 流体 / 生理学 |
Research Abstract |
本年度は多相流解析のための粒子法を胃内の食塊攪拌モデルへ拡張した.食塊攪拌は重力場における現象であり,胃内部にはガスが存在するため,食塊の量によって攪拌動態は変化すると考えられる.ここでは,胃壁の蠕動運動によって駆動される,高粘度Newton性流体の自由表面流れの問題として取り扱うことで,これを解析できる計算力学モデルを開発した.また非Newton性食塊や固体を含む食塊に対する計算モデル化について検討を行った.本年度得られた知見の主なものを以下に記す.胃容量の60%程度の食塊の場合には,幽門近傍において蠕動(収縮)の中心に噴流が発生することにより胃内部に循環流れが生じ,これが攪拌に対して中心的な役割を果たしている.しかしながらこの循環流れは幽門に近い大湾部付近に発生するため,特に噴門に近い小湾部ではほとんど攪拌を生じなかった.蠕動運動の収縮率や収縮幅を変化させたパラメトリックスタディを行い,収縮率が大きな影響をもつことが明らかとなった.食塊量を30%程度に減らした場合においても,胃内部の循環流れが攪拌を支配しているが,循環流れの発生要因は異なるものであった.これは,小湾部の収縮の影響を受けなくなるため噴流が発生しないことによるものであり,循環流れは,大湾部の収縮によってのみ生じることが明らかとなった.食塊量が少ない場合には,この循環流れが食塊全体を含むことができるため,食塊量が多い場合に比べて,領域による攪拌効率の差は少なくなった.食塊は幽門を通じて少量ずつ腸に排出されることから,これらのメカニズムによって最終的には全体が十分に攪拌されていることが示唆された.
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Research Products
(4 results)