2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者転倒挙動シミュレーションによる大腿骨頸部骨折予測と予防
Project/Area Number |
20700379
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 創太 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 准教授 (80293653)
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Keywords | バイオメカニクス / 大腿骨頸部骨折 / 高齢者 / 転倒 |
Research Abstract |
本研究は,高齢者転倒時の全身挙動を考慮した大腿骨頸部骨折の危険性を予測する転倒骨折予測シミュレーションモデルの開発と,それによる転倒骨折メカニズムと予防の検討を行うことを目的としており,本年度は日本人女性高齢歩行者のマルチボディ/有限要素ハイブリッドモデルに手つき動作による防御行動を組み込んだ.まず,前年度までに開発した女性高齢者マルチボディモデルによるつまずき転倒シミュレーションにおいて,片腕を能動的に前方に振り出す動作を再現した.このとき,文献を参考に高齢者の刺激に対する応答遅れ,肩の振り出し運動を推定し,モデル化した.次に,マルチボディモデルにより手が接地したのちに肩および肘関節のトルク-曲げ角関係を,文献から得た高齢者の筋力発揮時の肩および肘関節トルクから推定して与え,腰部を接地するまでの腕による衝撃吸収・緩和を再現した.最後にマルチボディ-有限要素ハイブリッドモデルにより,腰部に作用する衝撃によって大腿骨頸部に生じる応力を解析し,骨折危険性の評価を行った.その結果,本研究で考慮した歩行中のつまずき転倒では,ほとんどの場合において手つき動作により骨折危険性が顕著に低減した.これは,高齢者を対象にした転倒予防教室等による高齢者の運動機能維持・向上が大腿骨頸部骨折予防に有効である可能性を示唆している.本研究で開発した高齢者転倒骨折シミュレーションモデルは,骨折予防のために必要な高齢者の刺激に対する応答性や筋力等運動機能維持・向上の指針を与えるなど,高齢者QOL向上のための様々な解析に応用できる可能性があることが示された.
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