2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700380
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 宏治 Okayama University, 異分野融合先端研究コア, 助教 (70443223)
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Keywords | 精子 / メカノバイオロジー / ソフトリソグラフィー / 運動性 / カルシウムイオン / 細胞生物学 |
Research Abstract |
卵管内で卵巣から子宮への流れが生じている中で精子が連動性を維持しかつ卵管内を遡上し卵子にたどり着くためには、精子が流れの向きを感知して運動していると推察される。一般的に細胞運動を制御する因子の一つとしてCa^<2+>が知られているため、そのイオン動態を把握することは精子の運動性と受精メカニズムの解明に貢献する。本研究では、流れ等の物理的刺激が存在する環境下における精子の運動とそのイオン動態について情報を得、受精プロセスに必要な精子運動と卵管の力学的環境に関する理解を深めることを目的とする。流体刺激を負荷させるために、マイクロチャネル内の精子運動軌跡と細胞内カルシウム濃度([Ca^<2+>]_i)の同時計測系を構築した。2-10(μM)のFluo-4 AMで染色した健常者の運動精子を高さ50μm, 幅500μmのPDMS(Polydimethylsiloxiane)製マイクロチャネル内に入れて、共焦点蛍光顕微鏡観察は488nm励起光を共焦点スキャナCSU-10に通過させて観察を行った。運動精子と不動精子の[Ca^<2+>]_iを比較したところ、高速運動精子の頭部蛍光強度が高く観察された。また、運動精子速度と頭部の蛍光強度の間には正の相関が見られた。最大粒子速度が0.15mm/secのマイクロ流体中において、[Ca^<2+>]_iが観測された運動精子では、頭部を上流側に向けている精子が散見された。従って、精子は流体の向きを感知する機構が細胞内に備わっており、その機能が頭部に備わっていると考えられる。これらの精子では頭部と頸部で精子運動に関わるCa^<2+>シグナル伝達が働いており、卵管内等の流体中を運動し受精するために必要な機能を備えていると推察される。
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